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 ある日の夕暮れトド松が歩いていると、突然声をかけられた。

「松野、俺のこと覚えている?」

 スーツ姿のいかにも、真っ当な社会人といった装いの青年だ。覚えがなく首を傾げるトド松だったが、彼の表情にふと過去の記憶が甦る。

「あつし君……?」

 呼びかけると青年の表情がぱっと綻んだ。

「久しぶり、松野のことだから忘れたっていうかと思った」

​ 高校生の同級生『あつし』との数年ぶりの再会だった。

 その夜トド松は不思議な夢を見る。

 桜の舞う学校で彼と—————

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